ミラーレスを使い始めて一月経った
その日は突然やってきた。初めてグローバルシャッターを搭載したミラーレス一眼カメラSONY α9Ⅲの発売が間近となったとき、知人がα9Ⅲ導入のためにα9Ⅱ(以下、A9M2)を手放すというのを聞き、発作的に譲ってもらうことにした。
ヒコーキ写真を撮りはじめて12年を迎えるこの年まで、PENTAXだけを使い続け、これからもそうなるだろうと考えていたが、レンズロードマップはいつの間にか廃止されラインナップ提示だけとなり、最近ではフィルムカメラの話題しか出てこないという状況、そしてC,Nともに一眼レフがなくなってきている中でPENTAXの次機種の影も形も見えない中で将来を不安に思ってしまうのは仕方がないことだと自分に言い聞かせ、PENTAXのレンズ資産を活かせる可能性があるSONY機の導入に至った。発作的にと言いつつも、システムを0から構築しなくて良い選択をした。
A9M2を迎えるにあたり、試用頻度が減ったレンズを下に出しつつ、以下を調達した。
- MonsterAdapter LA-KE1
- SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
導入して最初は、PENTAXに慣らされた体に馴染まない操作体系に戸惑い、ズームリングの方向の違いに違和感を感じながら使ってきて、ここ最近では久しぶりにK-3IIIに戻ると指が迷い、ズームリングの方向に戸惑うようになってしまった。人間、慣れてしまうものだと思った。
夢想と現実
ヘビロテで視聴してたルークさんのCP+ CANONブースセミナーでミラーレスの良さを洗脳され続けてきた自分にとって、C社ではないがS社のフラッグシップ機を使うことでこれまで苦手としてきた夜撮のレベルアップを夢想していた。しかし、現実はそんなに甘いわけではない。セミナーの発言では「ヒコーキに合わせて振るだけで頭から尻尾までピントあうんですよ」という言葉を信じてスローシャッターに挑む。たしかに、ピントは確かに迷わないし、連写スピードもK-3IIIで感じてたような激落ちもなく動作する。が、結局「ヒコーキに合わせて振る」というフィジカルな部分はカメラユーザの技量によるところなので、全く合わない。ほんと、合わない。機材が良くなれば、機材のせいにできない分、自分の技量の未熟さを思い知らされ、猛烈に凹むのである。これなら、AF-Cでフォーカス優先にして、コマ速が落ちた上に2~3回に1回はピント外してしまっている機材の所為にした方が凹まなくていいんじゃないかと思うほどである。
しかし、師が言う「もう、暗視カメラですよ。見えちゃうんで夜も撮影続けちゃうんですよね。」と言うのには完全に同意。見えるから、ファインダーで夜も機体を追い続けることができるし、流しててタイミング合ってないのもその場で見えてしまっているのである。
なお、「EVFで答え合わせ終わってしまってるよね。」というのも正確ではない。EVFでいい感じにホワイトバランス他あったかなと思ってもやはり色はズレてるし、夜だと露出不足を騙されてしまう。EVFに見えている画像を信じてはいけないということがよくわかった。
そして、PENTAX以外を使っていて、ホワイトバランスCTEがないということが自分にとっては相当に致命的である。リファレンスにK-3IIIで同じシーンを撮って、Lightroomでホワイトバランス値を同じに設定してもあの色は全く再現できないのである。これからも、CTEを使うシチュエーションはPENTAXを代替することができないと思っている。
意外と使えたLA-KE1
150-600しかEマウントレンズを持たない自分には、LA-KE1だけが頼り。先日の記事、 「LA-KE1の内面反射が酷いので対策した話」でも書いた通り、酷い内面反射を対策し、夜撮でD FA☆70-200を使っているが、すこぶる良好である。被写体が激しく移動するわけではないので、十分使える状況なので、夜撮のお供になりそうである。(本記事の写真はA9M2 + D FA☆70-200) ただ、D FA150-450のテレ側では四隅がわずかに蹴られてしまうので四隅を捨てる必要はある。まあ、でも、これまでの資産を活かせるのは非常にありがたいことである。PENTAXをメインにしつつ、厳しいシチュエーションではA9M2に頼る運用が十分成り立つ。
ひょんなことからEマウント機を手に入れたことで、レンズの選択肢が一気に増えた。撮りたいシチュエーションに合わせて使いたいレンズをチョイスすることもできる。それでも、OVFを覗き、撮るプロセスを楽しむPENTAXの一眼レフは他で置き換えられるものではないし、fujibaオレンジの源泉であるPENTAXの色は(今のところ) SONYでは再現できていない。
「シャッターチャンスを逃さない」「自分の画作り」、この両面を追いかけつつ、持続可能な機材選びを続けていきたい。